【愛知・瀬戸】“せともの”産地の1泊2日旅。まちあるき&民藝編

【愛知・瀬戸】“せともの”産地の1泊2日旅。まちあるき&民藝編

愛知県瀬戸市は、“せともの”という言葉の由来になったまちで、千年以上もやきものを“ずっと”つくり続けている産地です。

その歴史の長さから「日本六古窯」として日本遺産にも認定されています。やきものの産地としての理由は、良質な陶土が採れることから。

土のブレンドによって、陶器も磁器もつくることができ、器はもちろん、人形、碍子、建材、求められれば、なんでも。

そんな瀬戸では、さまざまな切り口で産地ならではの旅を楽しむことができます。今回は、初めての方にまずは訪れていただきたい、1泊2日で旅をお届けしたいと思います!

【1日目】 名古屋駅から電車に乗って約1時間で、瀬戸へ

愛知県瀬戸市は名古屋駅周辺から北東に約20kmに位置する、山に囲まれた町です。玄関口は、名鉄瀬戸線の尾張瀬戸駅。名古屋駅からは1時間ほどで到着します。

駅の近くの川沿いには、やきものの問屋さんが並びます。

「森本陶苑」は黄瀬戸や織部などを扱う、瀬戸焼のお店。お店の横から一本中へと入ると、アーケード商店街「せと銀座通り商店街」へと続く道があります。

その途中には、陶芸家の野村晃子さんが開く「ギャラリー もゆ」。こちらのスタッフの多くは作家で、みなさんの作品をはじめ、ご縁ある作家たちの陶器やガラスを中心とした作品の販売がされています。

ギャラリー もゆ
愛知県瀬戸市朝日町48-1 
営業時間:11時〜17時
定休日:火・水曜

また、お向かいには手しごとや「阿ん」。店主の小塚洋子さんがとても目利きで、瀬戸の陶祖を祖先とする陶芸家の加藤唐三郎先生から現代アーティストたちの作品まで、本当に幅広い作品を扱っています。

一見入りにくそうかもしれませんが、ぐいっとなかへ入ると、素敵な器との出会いが待っています。

阿ん
愛知県瀬戸市朝日町47
 
営業時間:10時30分〜19時
定休日:不定休

 

日常で愉しまれている、やきものたち

瀬戸のまちなかには、よく見ると、やきものがあふれています。
例えば「ミソカツレスト サカエ」の駐車場。ここには、店主のつくったという信じられないほどの数の人形が並んでいます。一体ずつすべての個性が爆発しています。

百年以上の歴史を持つ「せと銀座通り商店街」

「サカエ」のすぐ近くには、アーケード商店街「せと銀座通り商店街」があります。771年に創建された「深川神社」への門前通りとして栄えてきました。

魅力的な老舗のお茶屋さんや乾物屋さんがあるほか、近年、若い人たちが開くお店も増えています。
藤井聡太王位を応援する商店街として、テレビにもよく登場しているのは、こちらです。

 

築140年の古民家宿「Masukichi」にお泊まり

「Masukichi」は、わたしたちが2018年に創業した古民家を改装したホステルです。「せと銀座通り商店街」から徒歩3分ほどの住宅街にひっそりと佇んでいます。

明治時代に活躍された、日本政府として初めて参加したウィーン万博にも、作品を出展していた陶工の川本枡吉さんが暮らしていた邸宅を改装しています。

「ますきち」では、やきものの産地、瀬戸を旅する拠点をめざして、周辺の町案内としてオリジナルのマップを制作して、宿泊者のみなさんに提供しています。

また、案内本『まちをあるく、瀬戸でつながる』(ヒトツチ出版)をつくり、ご自由に読んでいただけるようにしています。

館内には、カフェとお土産店もあり、Made in Setoの“せともの”を揃えています。「Masukichi」で、現在の瀬戸の街のことやものづくりを知っていただけると嬉しいです。

Masukichi -hostel cafe souvenir guide-
愛知県瀬戸市仲切町22  
時間:月〜木曜17時〜21時、金・土・日曜・祝日13時〜21時
定休日:なし

 

【2日目】産地らしい景色を求めて。

2日目は、瀬戸川の川向こうにある「せと末広町商店街」まで歩いてみてください。銀座通り商店街よりも、地元向けのお店が多い印象です。

愛知を旅する楽しみといえば、“モーニング”。
ドリンクを注文すると、トーストや卵といった食事が無料、あるいは少額で提供されるという、とってもお得なサービスです。

「Masukichi」の周辺にも、さまざまなカフェで実施されているので、ぜひお出かけしてほしいです。

イチオシは、せと末広町商店街にある「喫茶NISSIN」。1945年から続く老舗喫茶店です。こちらは、地元の人たちの憩いの場として集まっていて、その雰囲気を味わうことができます。

4代目の浅井梨歌ちゃんと、3代目で瀬戸のことなら、なんでもよく知る生き字引の真由美さんと、が迎えてくれます。

喫茶NISSIN
愛知県瀬戸市末広町3-7
営業時間:8時30分〜15時30分
定休日:火・水曜

せと末広町商店街の中には、「Art Space & Cafe Barrack」のおふたりが描いた顔ハメパネルが置かれています。瀬戸の歴史に由来する絵なのですが、顔ハメ位置がなんともシュールで、すばらしいユーモアに満ちあふれています。

「喫茶NISSIN」のあとは、徒歩1分ほどにある「本・ひとしずく」へ。
小さな出版社やZINEなどを多く扱う本屋さんで、そのセレクトがとてもよいです。小上がりにちゃぶだいがあり、本屋だけでもちょっとおしゃべりしたくなるような不思議な空間です。

本・ひとしずく
愛知県瀬戸市陶生町24
営業時間:10時〜16時30分
定休日:月〜水曜

 

瀬戸にしかない風景「窯垣の小径」

商店街を抜けると、窯元が集まる洞地区へと入っていきます。雰囲気も大きく変わっていき、よく見て歩いていると、ここも窯元だろうか? という場をあちこちにみつけることができます。

瀬戸でしかない見られない景観が「窯垣」です。かつて、大きな登り窯でうつわを焼いていたころ、棚や器を保護するカバーとして窯道具を使っていました。

それらは何度も窯のなかで焼かれるうちに老朽化し、役目を終えると、今度は家の塀や壁として、再利用されました。

「窯垣の小径」は、そんな窯垣が400メートルほど続く小径で、もともとは、職人たちが行き交うメインストリートでした。通り沿いには、窯元たちの家が並んでいて、やきものの産地としての風景が色濃く残っています。

幾何学模様のアートのよう。すごく雑に積んで風化しているものもあれば、とても美しく積み上げられているものもあり、そこもおもしろさのひとつです。これらは、住民のみなさんの手によって、大事に守られてきました。

 

和製タイルの先駆けに出会う。「窯垣の小径資料館」

「窯垣の小径資料館」は、もともと陶器の窯元を営んでいた寺田家の住宅をほぼそのまま生かした資料館です。

洞地区でよく作られていた、
日本で初めて量産された陶器のタイル「本業タイル」が数多く展示され、とくに、お風呂場がすばらしいです。

離れには、かつて瀬戸では、ものづくりがどのように行われていたのかの映像も残っており、登り窯を焚いている時の様子は必見です。

窯垣の小径資料館
愛知県瀬戸市仲洞町39
営業時間:11時〜15時
定休日:月〜水曜

 

現役窯元が開く「瀬戸・ものづくりと暮らしのミュージアム[瀬戸民藝館]」へ


窯垣の小径をさらに進むと、「瀬戸・ものづくりと暮らしのミュージアム[瀬戸民藝館]」に到着します。

創業250年以上も続く窯元「瀬戸本業窯」が運営する施設です。民藝の思想を大切に、江戸時代からほとんど変わらず、瀬戸の土と自然の釉薬で、手しごとでやきものをつくり続けています。

入口には、誰でも入ることができるショップがあり、入場料一般600円(高校生以下300円)で、瀬戸・洞地区のやきものを中心としたものづくりが伝える展示や資料があります。

2階にはやきものに限らず、暮らしを伝えるような空間があり、民藝運動の父・柳宗悦からの直筆の手紙なども所蔵されています。


外には、45年ほど前まで使われていた登り窯も展示されています。最後の窯焚きの映像が、2階で流れているので、その様子もぜひご覧くださいね。

瀬戸・ものづくりと暮らしのミュージアム[瀬戸民藝館]
愛知県瀬戸市東洞町17
営業時間:10時〜16時30分
定休日:月〜水曜 

 

登り窯の真横にある 薬膳茶 カフェ「SoybeanFlour」でひと息

登り窯の真横には「薬膳茶 SoybeanFlour(ソイビーンフラワー) 」があり、ここでひと息くつろいではいかがでしょうか?

「瀬戸本業窯」の器などを使った薬膳料理を食べたり、薬膳茶などをいただけます。ランチは季節のお野菜たっぷりのプレートとカレーが定番です。

薬膳茶 SoybeanFlour
愛知県瀬戸市東町1-6 (瀬戸民藝館内)
営業時間: 11時〜16時
定休日:月〜金曜

※混み合うことが多いので、ご予約をおすすめします。こちらは入館しなくても利用いただくことが可能ですが、施設管理維持費200円が必要です。


1泊2日の旅は、いかがでしたか?
こちらは「Masukichi」でも、よくご提案させていただいているプランです。
瀬戸の中心市街地は、コンパクトなので、徒歩圏内で商店街の町歩きも、やきものの産地らしい風景も楽しめます。
ぜひ思い立ったら、訪れてみてくださいね。

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