
1953年から続く製陶所「双寿園」。お茶碗の製造を主軸に、ローラーマシンという機械を使い、絵付けは手で描いたり、レトロなシルクスクリーン印刷を使ったりと、機械と手仕事のあいのこで、月に2、3万個という数を生産されています。
手に届きやすい価格帯で、うつわに興味を持ちはじめた方にもおすすめです。どんな工房なのか、ものづくりの裏側をお届けします。
毎日使いたい磁器のうつわ

「双寿園」は、瀬戸市内でも街中にある製陶所です。中心市街地にある「せと末広町商店街」を抜けた先の住宅街に工房があります。

代表を務めるのは、三代目の石川圭一さん。地元の信用金庫に6年勤務した後、瀬戸市内にある「名古屋高等技術専門校 窯業校」に1年通い、家業を継ぎました。 多忙な製造業務の傍ら、地域の行事にも積極的に参加されるなど、とてもパワフルな方です。現在はご両親とスタッフ3名とともに、日々、働かれています。

「双寿園」が手がけるのは、厚口のお茶碗を中心に、湯呑、そばちょこ、茶碗蒸しなど約300種類ものオリジナル商品。創業当初から、とくにお茶碗をよく作ってきたということで、使いやすさが極まっており、持った時の「これ、これ」感が、とても強いです。
素地には 「石もの」と呼ばれる磁器に加え、ふつうの磁器よりも、強度の高い強化磁器を使用しています。強化磁器は、飲食店や介護施設など、器を落としやすい現場でとくに人気を集めています。

近年は、自社ブランドにも注力されていて、自然と人の営みをテーマにした「モダンシリーズ」やちょっとクセのある「ねこシリーズ」などがあります。
小さなお茶碗で1,400円からとお手頃な価格もあって、「Masukichi」でも人気の商品です。このほかにも、企業からのOEMなどにも、数多く対応されています。
ローラーマシンと熟練の目

「双寿園」の大きな特徴は、ローラーマシンという機械で成形した後、職人の手仕事が加わり、どこか温かみも感じられることです。

ローラーマシンはどんな機械かというと、台の上に粘土を置くと、器の形をしたローラーヘッドと呼ばれる回転するコテが、ぐーっと降りてきます。高速回転しながら石膏型に押し付けることで、均一な厚みの器が数秒で出来上がるということが特徴です。

横並びに2台あり、2種類の形状を作ることができ、1日に1種類で約500個から1000個ほど成形が可能です。

ただ、自動とはいえ、粘土は自然から採れるもののため、厚みにわずかなズレが生じることがあり、粘土を見て調整しながら進めています。
シルクスクリーン印刷と手描き

絵付けの方法は、大きくわけて、2種類あります。
こちらは、シルクスクリーン印刷というもの。近年、ほかの窯元ではなかなか見られない、レトロな方法です。メッシュ状の版を使い、素焼きの器に直接絵柄を写していきます。

担当するのは、圭一さんのお父さまで、二代目の石川尚勝さん。この道、60年以上だそうです。

もうひとつは、瀬戸で昔からある手描きです。
数名のスタッフとともに働くのは、圭一さんのお母さまであり、大ベテランの捷子(かつこ)さん。かなりの高速で回転するろくろの上で、迷いなく線が描かれていく様は圧巻です。

その後、約4,000個もの器が入る巨大な窯で本焼成され、私たちの食卓へと届きます。瀬戸ではこれだけの生産能力がある製陶所は貴重です。機械による均一性と、職人の筆跡が残る温かみ。そのどちらもが、すばらしい塩梅で合わさって、良心的な価格となっています。
また、毎日、膨大な数を作るなかで、役目を終えて産業廃棄物になってしまう型や焼成後の器をどうにかできないか? と考え、リサイクルして次へつなげる行動も積極的にされています。(こちらの記事もぜひご覧くださいませ!)
使いやすい食器はもちろん、これからを見据えた取り組みにもぜひ、ご注目くださいね。
Written by 南未来



